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家計のアドバイザー通信 (2016年5月号)

―高額療養費制度と入院費用―


Q.80歳の母が救急車で運ばれ、1ヶ月弱入院しました(2016年2/8~3/4)。母は後期高齢者医療保険の1割負担の被保険者です。
よって1ヶ月の高額療養費は44,400円と思っていましたが、退院時はその倍以上かかりました。別に個室を使ったわけでもないのに…。
(50歳代、女性)

A.医療費負担が高額になりすぎないよう、1ヶ月毎の患者負担の上限を決めているのが「高額療養費制度」です。
後期高齢者医療保険(1割負担)の高額療養費(入院)は確かに44,400円ですが、ここでいう1ヶ月とは同月内の上限負担のことです。
今回の入院は2月から3月にまたがってしまったため、高額療養費は2月分で一旦清算され、3月分の保険内治療費は、2月の44,400円に含めることはできません。

<お母様の入院費用の内訳>

2月分3月分合 計
保険内44,400円13,710円
食費16,900円2,860円
保険外11,490円804円
合 計72,790円17,374円90,164円

ワン・ポイント・アドバイス : 思わぬ出費のかさむ入院!医療保険で補てんを!!

次に、入院中の食費は自己負担です。このときは1食260円でしたが、今年の4月1日から1食360円に値上げされました(2018年からは1食460円になる予定です)。入院が長引くとそれなりの額になります。
また、今回お母様は救急車により大病院に救急搬送されたため、いわゆる紹介状無しの大病院受診になり、保険外の負担がかかります(このときは3,000円)。さらに衛生材料費(紙パンツなど)なども保険適用外です。
そのため、1ヶ月以内の入院ではあったものの費用が9万円を超えてしまいました。
入院時にはこのほかにも、パジャマのレンタル代や家族がお見舞にいくときの交通費などもかかります。もし患者さんに小さい子供がいる場合には、家事代行や子供を預ける費用なども必要になるかもしれません。
緊急の入院に対し、医療保険で経済的なバックアップを準備すべきでは!!!

本記載は、公的医療保険制度の概要を説明するものです。
詳細につきましては、各公的医療保険制度の窓口にお問合わせください。

あなたの家計のアドバイザー

家計のアドバイザー通信 (2016年4月号)

―ジュニアNISAがスタート―

Q.子供用のNISA(ニーサ)ができると聞きました。どのようなものですか。

A.現行のNISA(少額投資非課税制度)は、20歳以上の方(日本国内在住)が対象です。
NISA口座で購入した非課税投資額までの株式や公募株式投資信託などについて、その配当、分配金、利息、譲渡益(売却益)などが5年間非課税になる制度です。

今年(2016年)4月1日からスタートする「ジュニアNISA」は、対象が0歳から19歳までです。よって、ジュニアNISAの口座を開設したり管理したり、実際に投資するのは親や祖父母等の親権者によることが多くなりそうです。

ジュニアNISAの仕組みは、通常のNISAと基本的には同じですが、投資限度額が年間80万円までであり、原則18歳までは引き出しができません。
一度NISA口座を開設した金融機関を変更できないことにも注意が必要です。

<NISAとジュニアNISAの相違点>

NISAジュニアNISA
対象年齢20歳以上(※1)0~19歳
非課税投資額年間120万円年間80万円
引き出し制限制限無し原則18歳まで引き出し制限(※2)
金融機関毎年変更可(条件有り)変更不可
(※1):NISA口座を開設する年の1月1日時点で20歳以上であること。
(※2):災害等やむを得ない場合を除き、途中引き出しの場合には、それまでの益金全てに課税されます。

ワン・ポイント・アドバイス : 今年からNISAの年間上限が120万円に引き上げ!

今年1月1日から、従来100万円であったNISAの年間上限が120万円に引き上げられました。これは月々10万円ずつの投資を行う、例えばドルコスト平均法#などによる運用に対応するための措置です。

#:毎回同じ金額ずつ金融商品を購入することによって、平均購入単価を下げる投資方法。

本記載は、2016年3月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。

家計のアドバイザー通信 (2016年3月号)

―年金と確定申告―


Q.年金生活者です(収入は公的年金のみ)。確定申告をしなくてもいい場合があると聞きましたが・・・。

A.「雑所得」に区分される年金は、課税上2つに分かれます。国民年金や厚生年金、確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)などは、「公的年金等」として「公的年金等控除」の対象になります(右表参照)。

これに対し、生命保険会社などに加入する個人年金保険などは「その他」に分類され、講演料や原稿料、印税等と同じ扱いになり、公的年金等控除を受けることはできません。

さて、年金所得者には「確定申告不要制度」があります。公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ全額が源泉徴収の対象になっていて、それ以外の所得が20万円以下である場合などには、確定申告は必要ありません。
ただし各種控除などによって還付を受ける場合には、確定申告が必要です。

<公的年金等控除>
年齢収入金額控除額
65歳未満130万円未満70万円
130万円以上410万円未満収入金額×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満収入金額×15%+78.5万円
770万円以上収入金額×5%+155.5万円
65歳以上330万円未満120万円
330万円以上410万円未満収入金額×25%+37.5万円
410万円以上770万円未満収入金額×15%+78.5万円
770万円以上収入金額×5%+155.5万円
*横浜市税のページを基に筆者が作成

ワン・ポイント・アドバイス : 年金への支払い保険料の控除も、種類ごとに違う!

公的年金などの支払い保険料の控除も、その年金の種類によって区分が違います。

①社会保険料控除 (国民年金保険料、国民年金基金の掛金、厚生年金保険料など)  
②小規模企業共済等掛金控除 (企業型確定拠出年金の加入者掛金、個人型確定
拠出年金の加入者掛金など)
③生命保険料控除 (生命保険会社などの個人年金保険料など)

本記載は、2016年2月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。