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家計のアドバイザー通信 (2016年11月号)

―保険持株会社―


Q10月から第一生命が持株会社に移行したとのことですが、持株会社とは何ですか。保険契約に変更などはありますか。

A.持株会社とは、他の株式会社を支配する目的でその会社の株式を保有する会社です。
独占禁止法上では、子会社の総資産額の1/2超を保有する会社とされています。

持株会社には2種類あります。持株会社自身も事業を行いながら子会社の株を持つ「事業持株会社」と、グループの中核として原則子会社の支配・管理のみを行う「純粋持株会社」です。
前者はいわゆる「株の持ち合い」などの形によるものですが、第一生命も含め最近の「ホールディングス」などと呼ばれる会社は後者であることが多いです。

戦前の財閥による過度のグループ化の反省から、純粋持株会社の設立は禁止されていました。
しかし、経済の国際化に伴い持株会社が認められている欧米との競争力を強化するため、1997年に純粋持株会社の設立が解禁されました。

持株会社には、「グループ内の意思決定がスピーディー」や、「グループ内の資源・設備・人材等の効率化」などのメリットがあります。

なお、現在第一生命に加入中の保険契約について、その内容やサービスなどに変更はありません。
                      

(第一生命「よくあるご質問」より)

<保険持株会社>
会社名設 立子会社
アニコム ホールディングス(株)2000年 7月5日アニコム損害保険(株)等
AIGジャパン・ホールディングス(株)2007年 8月8日AIU損害保険(株)等
損保ジャパン日本興亜ホールディングス(株)2010年 4月1日損害保険ジャパン日本興亜(株)等
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(株)2008年 4月1日三井住友海上火災保険(株)等
ソニーフィナンシャルホールディングス(株)2004年 4月1日ソニー生命保険(株)等
(株)T&Dホールディングス2004年 4月1日太陽生命保険(株)等
東京海上ホールディングス(株)2002年 4月2日東京海上日動火災保険(株)等
日本郵政(株)2006年 1月23日(株)かんぽ生命保険等
プルデンシャル・ホールディング・オブ・ジャパン(株)2009年 4月1日プルデンシャル生命保険(株)等
第一生命ホールディングス(株)2016年 10月1日第一生命保険(株)等

家計のアドバイザー通信 (2016年10月号)

―主婦に新たな106万円の壁―


Q「103万円の壁」や「130万円の壁」のほかに、新しく「106万円の壁」ができると聞きましたが・・・。

A.まず、「給与所得控除」の最低額65万円と、「基礎控除」の38万円を足すと103万円になります。つまり所得税がかからないボーダーラインが、「103万円の壁」です。

次に、「130万円の壁」は、被扶養者のラインです。つまり、配偶者(妻など)の年収が130万円未満なら、扶養者(夫など)の健康保険に加入し、年金も第3号被保険者になるため社会保険の負担はありません。

しかし、今年(2016年)10月から、従業員数501人以上の企業などに勤める人(主婦など)の社会保険の適用範囲が、130万円以上から106万円以上に拡大されました。

<年収と壁>

100万円以下100万円超103万円超106万円以上130万円以上
住民税非課税課 税
所得税非課税非課税課 税
配偶者控除対 象対 象対象外(配偶者特別控除)
社会保険非適用非適用非適用適用*適用

                       
ワン・ポイント・アドバイス : 企業の配偶者手当なども考慮!
新たにできた106万円の壁の条件は
①勤務時間が週20時間以上
②年収106万円以上(月8.8万円以上)
③勤務期間が1年以上(見込み)
④勤務先(パート先など)の従業員数が501人以上
⑤学生でない
の5つで、全てを満たした場合に社会保険(厚生年金、健康保険)の対象となり、負担が増えます。年収を106万円未満に抑えるか、むしろ年収増を狙うか、様々な選択肢がありますが、夫の企業に配偶者手当などがある場合はそれも考慮しつつ、総合的に判断すべきです。

家計のアドバイザー通信 (2016年9月号)

―確定拠出年金の税制優遇―


Q今話題の確定拠出年金ですが、年金受け取り時の税金が得であると聞きました。どういうことですか。

A.確定拠出年金とは、あらかじめ決められた掛金を拠出し、それを加入者自らが運用し、その運用の成果によって年金額が上下に変動する仕組みの年金制度です。

確定拠出年金には掛金を企業が拠出する「企業型」と個人が負担する「個人型」があります。確定拠出年金「個人型」の対象は現在、自営業者および企業年金のない企業の従業員に限られています。

しかし来年(2017年)1月からは、公務員、専業主婦、確定拠出年金「企業型」も含む企業年金のある企業の従業員なども確定拠出年金「個人型」に加入できるようになります。          

<公的年金等控除額>
公的年金等の収入(S)公的年金等控除額
65歳以上330万円未満120万円
330万円以上410万円未満S×25%+375,000円
410万円以上770万円未満S×15%+785,000円
770万円以上S×5%+1,555,000円
65歳未満130万円未満70万円
130万円以上410万円未満S×25%+375,000円
410万円以上770万円未満S×15%+785,000円
770万円以上S×5%+1,555,000円

ワン・ポイント・アドバイス : 確定拠出年金は公的年金等控除の対象!

確定拠出年金にはいくつか、税制上の優遇措置があります。
①確定拠出年金「個人型」の掛金は全額所得控除
②運用期間中の運用益は非課税
③確定拠出年金を年金で受け取る場合、「公的年金等控除」が適用(一時金なら「退職所得控除」)

ただし、確定拠出年金には、「原則60歳まで引き出しができない」や「運用は自己責任で行わなければならない(元本割れのリスクもある)」などのデメリットもあります。
老後の生活資金作りに確定拠出年金をお考えの際は、税制上の優遇面ばかりでなく、総合的に判断してご利用下さい。