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家計のアドバイザー通信 (2016年2月号)

―ラップ口座とは―

Q.お正月にテレビで、ラップ口座のコマーシャルを見ました。ラップ口座とは何ですか。

A.ラップ口座とは証券会社などの金融機関と「投資一任契約」を結び、資産の運用を金融機関に任せるものです。
金融機関は投資者の要望やリスク許容度などに沿って、投資者に代わり資産を運用します。

ラップ口座には大きく2つのタイプがあります。
1つは、最低取扱金額が1000万円~1億円といった富裕層向けで、SMA(セパレート・マネジメント・アカウント)と呼ばれる従来型のラップ口座です。
2つ目は「ファンドラップ」と呼ばれる新しいタイプのラップ口座です。投資対象は投資信託に限られていますが、取扱金額が300万円~500万円と預けやすくなっています。

<ラップ口座のイメージ>


投 資 者
投資一任契約
金 融 機 関
売買等取引
証 券 市 場

<ワン・ポイント・アドバイス>
プロが運用してもマイナスになることも!

ラップ口座のメリットは、運用のプロに資産運用を任せることができることです。
しかしプロが運用しても、必ずしも希望する運用成果になるとは限りません。時にはマイナス運用になることもあり得ます。つまり、ラップ口座は元本保証ではありません。

また、ラップ口座は資産の売買の都度には手数料等がかかりません。
しかしながら、預入残高に対して一定のフィー(費用・手数料など)がかかり、さらにファンドラップなど投資信託に投資する場合には信託報酬がかかります。
フィーは一般的に年間2%位といわれていますが、最近多いノーロードファンド(手数料無料の投資信託)に比べると高い費用はラップ口座のデメリットといえるかもしれません。


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家計のアドバイザー通信 (2016年1月号)

―ふるさと納税と確定申告―


Q.2015年にふるさと納税をしました。今年から確定申告は必要ないですね。

A.「ふるさと納税」とは、自分の住んでいる自治体以外の自治体に寄付をすることです。
この寄付金の額から、自己負担の2,000円を除いた全額が、所得税と住民税から控除されます。
寄付を受けた自治体からの返礼品が2,000円以上であることが多いため、活用する人が増えています。

そのため、政府は「地方創生」策の一環として、2015年からふるさと納税制度を充実させました。
①ふるさと納税枠(限度額)を約2倍に拡充。
②確定申告を行わなくても、ふるさと納税の控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を導入。

<ふるさと納税ワンストップ特例制度のイメージ>

寄付

ふるさと納税者ワンストップ特例申請書の提出 →ふるさと納税先の自治体
 控除に必要な情報
ふるさと納税をした翌年度分の住民税居住している自治体

ワン・ポイント・注意:ワンストップ特例制度でも確定申告が必要な場合がある!

ワンストップ特例申請書を提出した場合でも、確定申告が必要な場合があります。

①ワンストップ特例制度の対象となるには、サラリーマンなどの確定申告が不要な人で、かつ寄付先の自治体数が5団体以下であること。
②対象となるのは2015年4月1日以降の寄付であるため、それ以前(2015年1月1日から3月31日)のふるさと納税で控除を受けるためには確定申告が必要。
③医療費控除などで確定申告を行う場合、ふるさと納税の控除には確定申告が必要。

本記載は、2016年1月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。

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家計のアドバイザー通信 (2015年12月号)

―社債の取引価格の公表開始―


Q.社債取引の実際の売買価格が開示され始めたとのことですが、今までは公表されなかったのですか。

A.社債の売買には、証券会社を通じて証券取引所に注文を発注する「取引所内取引」と、証券会社の店頭で投資者と証券会社とが相対で取引を行う「店頭取引(取引所外取引)」があります。

 社債は、発行時期や発行条件(クーポンレートなど)によって個別商品(銘柄)が大変多く、また償還があるため、その都度新規上場と上場廃止を繰り返さなければならない(コスト高にも繋がる)などの理由から、ほとんどが店頭取引で売買され、取引所内取引は一部の銘柄に限られ
ています。

店頭取引では証券会社の提示する価格によって売買され、その価格は公表されませんでした。

<主な社債市場改革>

従 来11月から
売買参考統計値上下一定の報告気配値を除いてから、平均値・中央値・最高値・最低値を算出上下のカットを行わず、平均値・中央値・最高値・最低値を算出
公表値・売買参考統計値・売買参考統計値
・実際の取引価格
報告・公表時間 (目途)16:30 各証券会社が日証協に報告17:45 各証券会社が日証協に報告

(実際の取引価格は17:15)
17:30 日証協が公表18:30 日証協が公表

(実際の取引価格の公表は翌営業日の9:00)

ワン・ポイント・豆知識 : 社債市場が活発になるかも・・・!

店頭取引では、取引所取引のような市場価格はありません。そのため売買の参考になるよう、日本証券業協会(日証協)が各証券会社から報告される「気配値(各銘柄の想定価格)」を集計し、「売買参考統計値」を公表しています(目安の価格)。

しかしこの取引価格の不透明さが、日本の債券市場の取引が欧米に比べて少ない原因の1つとの指摘が以前からありました。
そこで11月から、実際の取引価格の公表(当面は対象銘柄のみ)に加え、報告および公表時間の繰下げ(適切な気配値の報告のため)や売買参考統計値の適正化などの改革が行われています(上表参照)。
これにより、社債の発行市場および流通市場が活性化されることが期待されています。

あなたの家計のアドバイザー