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家計のアドバイザー通信 (2014年8月号)

―相続税(基礎控除の縮小)―


Q.来年から相続税が増税されるそうですが、誰でも相続税の申告が必要なのでしょうか。


A.相続税の申告が必要な人は、「課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超えた場合に、その財産を取得した人」です。

ただし、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」などの適用を受ける場合は、税務署への申告が必要です。

<遺産に係る基礎控除>
現 行201511日以降
5000万円+(1000万円×法定相続人数)3000万円+(600万円×法定相続人数)

ワン・ポイント・アドバイス:来年から基礎控除が縮小される!
課税価格は、各人が相続・遺贈や相続時精算課税による贈与によって取得した財産です。

課税価格=相続・遺贈により取得した財産+相続時精算課税適用の財産
-債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産

この課税価格の合計から遺産に係る基礎控除を引いた額が課税遺産総額です。

課税税遺産総額 = 各人の課税価格の合計 - 遺産に係る基礎控除

この基礎控除額が、来年から現行の6割に縮小されます(上表参照)。つまり、上記の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除を超える人(課税遺産総額がプラス)が多くなることが予想されます。早めの相続対策をお勧めします。


本記載は、2014年7月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。

あなたの家計のアドバイザー             

家計のアドバイザー通信 (2014年7月号)

―株式と社債―


Q.株式を保有している企業から、株主総会の通知が来ました。社債を保有してもそのような通知は来ません。株式と社債は違いますか。
(80歳代、ご夫婦)

A.株式も社債も、投資先となる企業を選んでお金を投じるものですが、この2つは全く違うものです。

株式は企業の運転資金(資本金)を少額ずつ不特定多数の人から集めるための手段です。よって株式を購入するということはその企業への出資者(株主)になるということで、議決権など経営に参加する権利が与えられます。

株主の権利には、株主総会に出席して議決権を行使する権利(株主総会議決権または経営参加権)のほかに、配当を受け取る権利(利益分配請求権)や会社が解散したとき、残った財産の分配を受ける権利(残余財産請求権)があります。

<株式と社債>

株 式社 債
投資金の性格資本金に出資企業への貸付金
配当と利息配当金 (企業の業績により変動)貸付利息および利払い日が確定
償 還企業が存続する限り、満期はない償還金額および償還日が確定
企業の返済義務企業に返済義務はない企業にとっては負債であり、返済義務がある

ワン・ポイント・アドバイス:自分に合った金融商品を選びましょう!
社債は一種の借用証書です。よって社債を購入するということは、その企業にお金を貸す(貸主になる)ことになります。借用証書として社債では、借入金(額面)、返済期限(償還日)、利息(金利と利払い日)が確定しています。

株式投資のメリットは、投資先企業の業績によって高配当や高い売却益がねらえることですが、倒産すれば「紙切れ」になることもあり得ます。
一方債券は、利払いや償還のキャッシュフローが決まっているメリットはありますが、債務不履行などの信用リスクが存在します。
それぞれの商品特性をよく理解し、自分の投資目的に合った金融商品を選びましょう!!

あなたの家計のアドバイザー             

家計のアドバイザー通信 (2014年6月号)

―医療費の窓口負担増(70歳~74歳)―


Q.70歳から74歳の人の医療費の窓口負担が増えるそうですが・・・。 

A.70歳~74歳の人の医療費の窓口負担(自己負担)が、現行の1割から2割に増えます。
ただし、対象は平成26年4月2日以降に70歳の誕生日を迎える方です。平成26年4月1日までに70歳の誕生日を迎えた方の窓口負担は1割のままです(所得区分が一般の場合、右表参照)。

平成18年の法改正により、本来平成20年4月から変更されるはずであった2割負担が、特例措置によって1割に据え置かれていました。今回はこの特例措置の見直しによるものです。

<70歳~74歳の医療費の窓口負担(自己負担)>
所得区分所得要件自己負担
現役並み課税所得が145万円以上(国保)など3割
一般課税所得が145万円未満(国保)など2割(H26年4/1までに70歳の誕生日を迎えた人は1割
低所得Ⅱ住民税非課税
低所得Ⅰ住民税非課税(所得が一定以下)

なお、同様に特例措置により低く設定されている「高額療養費(月ごとの自己負担限度額)」については、据え置かれます(変更ありません)。

ワン・ポイント・アドバイス:民間の医療保険の活用を!
平成23年度の国民医療費は総額で38兆5,850億円でした(厚生労働省)。1人当たりに換算すると30万1,900円です(同)。高齢化の進展および医療技術の高度化などによって、医療費は今後も増大すると考えられます。公的医療保険制度の財政状況もますます厳しくなるでしょう。

窓口負担(自己負担)の増加や高額療養費(自己負担限度額)の縮小などの対策の1つとして、民間保険会社の医療保険を活用されてはいかがでしょうか。

医療保険は被保険者の健康状態により加入できないことや、また高齢になると保険料が高くなることがあります。早めのご検討をお勧めします!!

本記載は、公的医療保険制度の概要を説明したものです。
詳細につきましては、各公的医療保険制度の窓口にお問合わせください。

あなたの家計のアドバイザー