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40年前の夏

1971年は、私が30年間勤務した保険会社に入社した年である。
入社1年目、60名の男性新入社員は全員が寮生活だった。
M君は四国の香川県丸亀市、私は九州宮崎市の出身、共通なのは田舎育ちということだけであったが、入社当初から意気投合、仕事を終えてから毎日のように時間を見つけては二人で会って話をするようになった。
しかし、楽しく過ごした期間はほんの4カ月。
その年の8月、この会社の仕事は自分に向かないといって、彼は公務員になるために故郷に帰ることになる。

あれからちょうど40年が経った。
先週、そのM君が上京してくるというので会うことになった。
一緒に過ごした期間はほんの4カ月であったが、40年ぶりに過ごした2時間の会食は、そんな長い期間を全く感じさせないほど楽しくも懐かしい不思議な時間であった。
人と人との付き合いは、時間の長さだけでは測れない、相手に対する思いの強さも大切なんだなとつくずく感じた次第である。

M君は丸亀市の総務部長までのぼり詰め、今は市の代表監査役である。
お互いすでに60歳を過ぎたが、これから先も元気でまた会おうと言って別れた。

帰り道、何だか久しぶりに心がポーッと温かくなっていくのを感じた。

夜半の雨が雪に・・・

夜半から降っていた雨が朝起きたら雪に変わっていた。
こんなことを言うと、各地で積雪の被害を受けている方々に申し訳ないが、今冬、初めて降雪を見たような気がする。

大雪の被害もそうだが、霧島連山の新燃岳で今年10回目の爆発的噴火があった。
私の出身地なので当然ながら気になっているが、宮崎県は口蹄疫、鳥インフルエンザに続いて新燃岳の噴火と災難が続いている。
高校時代を過ごした都城市も噴火の灰で生活にも様々な支障が出ていると聞く。

そうした各地での被害が起きていることをよそに、政治も経済も連日のように新聞・TVなどのマスメディアを賑わせ不安定な状況が続いている。
政治家の方々もいろいろ事情があるのだろうが、そもそも、仲間同士でもめ続けたり、味方になったり突然敵になったりしているのを見せられると、ただそれだけで人としていかがなものかと思ってしまう。
解散総選挙ともなれば、4月中旬に行われる東京都知事選、統一地方選と併せて、また議員の就活の日々が始まる。
余談ながら、私の母校は都城泉が丘高校だが、同高出身の東国原元宮崎県知事も都知事選出馬の噂があるとか。

新燃岳がそうだとは言わないが、溜まっている国民のストレスが噴火したら、それはそれでまた災難を被る人達が出てくるのだろう。

各駅電車

埼玉県所沢市に住んで17年になる。
私は九州の出身だが、所沢に両親の墓を建てたこともあり、たぶんこれから先もこの町を離れることはないと思う。
いい町だし住みやすいので気に入っている。
所沢から勤務先の高田馬場までは急行で約30分くらいかかる。

先日、入間市に住んでいる45年来の親友と新宿で食事をして、西武線で一緒に帰ることになった。
彼が「たまには各駅停車の電車で帰ろうか」と言うので乗り込んだ。
午後9時台といえば急行ならいつも満員、すし詰め状態なのに車内はガラガラ。
ゆっくり座って話し込んでいたらいつの間にか所沢に着いていた。
時計を見たらちょうど1時間かかっていた。

「いつもバタバタと時間と競争するように満員電車で帰るより、たまにこうしてゆっくり帰るのもいいよね」
新宿から所沢まで各駅電車で帰ることなど今まで考えたことがなかったが、彼のその言葉が妙に心に残った。

自分の手帳を見ると、1週間のスケジュールが結構「満員」状態だ。
空白があるとつい簡単にスケジュールを入れてしまう。
時にはガラガラで空白のスケジュールを過ごすのもいいかもしれない。