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家計のアドバイザー通信 (2016年9月号)

―確定拠出年金の税制優遇―


Q今話題の確定拠出年金ですが、年金受け取り時の税金が得であると聞きました。どういうことですか。

A.確定拠出年金とは、あらかじめ決められた掛金を拠出し、それを加入者自らが運用し、その運用の成果によって年金額が上下に変動する仕組みの年金制度です。

確定拠出年金には掛金を企業が拠出する「企業型」と個人が負担する「個人型」があります。確定拠出年金「個人型」の対象は現在、自営業者および企業年金のない企業の従業員に限られています。

しかし来年(2017年)1月からは、公務員、専業主婦、確定拠出年金「企業型」も含む企業年金のある企業の従業員なども確定拠出年金「個人型」に加入できるようになります。          

<公的年金等控除額>
公的年金等の収入(S)公的年金等控除額
65歳以上330万円未満120万円
330万円以上410万円未満S×25%+375,000円
410万円以上770万円未満S×15%+785,000円
770万円以上S×5%+1,555,000円
65歳未満130万円未満70万円
130万円以上410万円未満S×25%+375,000円
410万円以上770万円未満S×15%+785,000円
770万円以上S×5%+1,555,000円

ワン・ポイント・アドバイス : 確定拠出年金は公的年金等控除の対象!

確定拠出年金にはいくつか、税制上の優遇措置があります。
①確定拠出年金「個人型」の掛金は全額所得控除
②運用期間中の運用益は非課税
③確定拠出年金を年金で受け取る場合、「公的年金等控除」が適用(一時金なら「退職所得控除」)

ただし、確定拠出年金には、「原則60歳まで引き出しができない」や「運用は自己責任で行わなければならない(元本割れのリスクもある)」などのデメリットもあります。
老後の生活資金作りに確定拠出年金をお考えの際は、税制上の優遇面ばかりでなく、総合的に判断してご利用下さい。

家計のアドバイザー通信 (2016年8月号)

―介護保険の自己負担―


Q公的介護保険の自己負担が、1割の人と2割の人がいると聞きましたが・・・。


A.公的介護保険のサービスを受けた場合、利用者はその一部のみ(1割か2割)を負担し、残りは介護保険から支給されます。

昨年8月の改正で、一定以上の所得のある人の自己負担が2割になりました(右表参照)。
自分の負担割合については、各市区町村から送られてくる「介護保険負担割合証」でご確認下さい。

昨年8月の改正では他に、「高額介護サービス費の上限の引き上げ」や「介護3施設の食事・部屋代の負担軽減判定の見直し」、「特別養護老人ホームの相部屋の室料負担の見直し」などがありました。
   

<公的介護保険の自己負担>
1割いずれかに該当
①生活保護等受給者
②本人が市民税非課税
③本人の合計所得金額が160万円未満
④本人の合計所得金額が160万円以上かつ世帯に65歳以上の人が本人のみの場合「公的年金等収入額+その他の合計所得金額」が280万円未満(2人以上の場合は合計が346万円未満) など
2割第1号被保険者(65歳以上)の人で、本人の合計所得金額が160万円以上かつ、世帯に65歳以上の人が本人のみの場合「公的年金等収入額+その他の合計所得金額」が280万円以上(2人以上の場合は合計が346万円以上)
                   

ワン・ポイント・アドバイス : 民間の介護保険を使って、介護の経済的負担を軽減!

公的介護保険には月々の自己負担に上限があり、これが「高額介護サービス費」です。
昨年8月以前は、最高上限額が37,200円でしたが、8月以降は「現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方」の上限が44,400円に引き上げられました。

介護人口の増加に伴い、公的介護保険の財政もますます厳しくなり、今後も見直しが続くものと思われます。民間の介護保険を利用して、介護時の経済的な準備をお勧めします。

本記載は2016年8月現在の公的介護制度の概要を説明しています。
詳細は、市区町村の公的介護保険制度の窓口までお問い合わせください。

家計のアドバイザー通信 (2016年7月号)

―患者申出療養制度がスタート―


Q患者申出療養制度がスタートしたそうですが、これは何ですか。

A.「患者申出療養制度」とは、困難な病気と闘う患者の思いに応えるための「保険外併用療養費制度」の1つです。

医療には「保険診療」と「保険外診療」があり、保険診療を受けた場合の患者負担は原則3割ですが、保険外診療では100%自己負担です。

日本ではこの2つを同時に受ける「混合診療」が禁止されているため、同時に受けた場合保険外診療部分はもちろん、保険診療部分も全額患者負担になります。

しかし、国が定める「評価療養(先進医療など)」と「選定療養(差額ベッドなど)」については保険外併用療養費として、保険診療と保険外診療の併用が認められています。
                       

<患者申出療養制度>
(患者申出療養として初めて医療を実施する場合)
患者からかかりつけ医等へ相談
臨床研究中核病院(大学病院など)において国に提出する資料作成
患者が臨床研究中核病院を通じて国に申請
国の会議で審査(原則6週間)
患者申出療養の実施

ワン・ポイント・アドバイス : 医療保険を使って、万一のときの経済的負担を軽減!

保険診療と保険外診療の併用が認められる保険外療養費制度でも、保険診療部分は3割負担であるものの、保険外診療部分は全額自己負担になります。
患者申出療養においても、保険診療の対象外の部分については、「患者申出療養に係る費用」として、全額患者負担になります。

患者申出療養制度は、患者の申出により評価療養に含まれない治療法であっても、先進的な医療を迅速に、身近な医療機関で受けられるようにする制度です。
もしものとき、治療費などの経済的な負担を軽減するため、医療保険を活用するのも1つの手です。