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家計のアドバイザー通信 (2013年7月号)

ff フォルテシモ
家計のアドバイザー通信 (7月号)

―NISA(日本版ISA)活用の注意点―


Q.5月号の「日本版ISA」で「不利になる場合がある」とありましたが、具体的に教えてください。
   (50歳代男性)

A. NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)の基であるイギリスのISAは恒久化されていますが、日本版ISAの適用は今のところ10年間です。

よって、非課税適用期限の終了時にNISA口座に残っている株式などは特定口座や一般口座などに移管することになります。このとき、取得価格は移管時の時価に更新されます。

非課税期間終了時までNISA口座に残っている株式などは株価が下がっていて売却できない場合が考えられますが、購入価格より時価が低いときは不利になる可能性があります(右表参照)。

<NISA口座からの移管例>
購入時NISA口座で
A株式を100万円で購入
移管時NISA口座のA株式を
時価50万円で特定口座に移管
売却時A株式を80万円で売却
実際は
80万円-100万円=▲20万円で20万円の損失
しかし
80万円-50万円=30万円
で30万円の売却益が発生し、
30万円×20%*=6万円
により6万円課税
*2014年1月から現行の10%から20%に変更。
*復興特別所得税などを除く。

ワンポイントアドバイス:NISA口座は損益通算できない!
NISA口座の株式などの売却損益などは、損益通算の対象になりません。
ケース①
一般口座にてX株式100万円購入後、50万円で売却 (50万円の損失)
一般口座にてY株式100万円購入後、140万円で売却 (40万円の利益)
※AとBを通算し、売却益は0(税金はかからない)。通算しきれなかった10万円は繰越し。

ケース②
NISA口座にてX株式100万円購入後、50万円で売却 (50万円の損失)
一般口座にてY株式100万円購入後、140万円で売却 (40万円の利益)
※AとBは通算できないので、40万円×20%*=8万円課税!!損失の繰越しも不可!!!

本記載は、2013年7月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。

あなたの家計のアドバイザー             

家計のアドバイザー通信 (2013年6月号)

―教育資金贈与の非課税制度―


Q.私たちの両親が、私たちの子供、つまり孫に教育資金の名目で贈与した場合、贈与税が非課税になると聞きましたが・・・。
   (40歳代夫婦)

A.名目ではダメです。実際に(将来)教育資金に使う目的の贈与でなければ、贈与税は非課税になりません(概要は右表参照)。

そのため、この非課税制度を利用するためには、金融機関等(信託会社、信託銀行、銀行等、証券会社)に、贈与金額を預け入れるなどし(「教育資金口座の開設等」という)、払い出しには、原則教育資金の支払いに充てたことを証明する書類(領収書など)の提出が必要です。

なお、「教育資金非課税申告書」は口座を開設した金融機関が提出しますので、税務署等に手続きに行く必要はありません。

<教育資金、一括贈与の非課税制度>
対象期間2013/04/01
~平成27年12月31日
贈与者直系尊属
(祖父母、両親など)
受贈者30歳未満の子、孫、など
非課税1,500万円まで
限度額(学校等以外*に支払う場合は500万円まで)
手続き・金融機関等に「教育資金口座を」開設すること
・「教育資金非課税申告書」を金融機関等経由で提出すること
*学校等に直接支払われる金銭とは、入学金、授業料、入学受験料などです。
また、学校等以外に直接支払われる金銭とは、学習塾、水泳教室、ピアノ教室などの指導料など
ワンポイントアドバイス:教育資金口座の変更はできない!
この非課税制度には、「相続財産が減り、相続税の節税に効果がある」や「確実に、孫などの教育支援ができる」などのメリットがありますが、「30歳時点で残りがあれば、贈与税がかかる」などのデメリットもあります。

特に教育資金口座は、各金融機関によって手数料や払い出し方法に差がありますが、口座は受贈者1人につき1口座のみしか開設することができません。また、変更もできませんので、贈与を受けるときは取引金融機関をよく検討すべきです。


本記載は、2013年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。


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