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40年前の夏

1971年は、私が30年間勤務した保険会社に入社した年である。
入社1年目、60名の男性新入社員は全員が寮生活だった。
M君は四国の香川県丸亀市、私は九州宮崎市の出身、共通なのは田舎育ちということだけであったが、入社当初から意気投合、仕事を終えてから毎日のように時間を見つけては二人で会って話をするようになった。
しかし、楽しく過ごした期間はほんの4カ月。
その年の8月、この会社の仕事は自分に向かないといって、彼は公務員になるために故郷に帰ることになる。

あれからちょうど40年が経った。
先週、そのM君が上京してくるというので会うことになった。
一緒に過ごした期間はほんの4カ月であったが、40年ぶりに過ごした2時間の会食は、そんな長い期間を全く感じさせないほど楽しくも懐かしい不思議な時間であった。
人と人との付き合いは、時間の長さだけでは測れない、相手に対する思いの強さも大切なんだなとつくずく感じた次第である。

M君は丸亀市の総務部長までのぼり詰め、今は市の代表監査役である。
お互いすでに60歳を過ぎたが、これから先も元気でまた会おうと言って別れた。

帰り道、何だか久しぶりに心がポーッと温かくなっていくのを感じた。