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家計のアドバイザー通信 (2015年5月号)

―公的年金のマクロ経済スライド―


Q.今年(2015年)4月に初めて実施された「マクロ経済スライド」は、公的年金の年金額を下げる効果があると聞きましたが、実際には年金額は増額しています。どういうことでしょうか。

A.マクロ経済スライドとは、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)」と「平均余命の伸びに伴う給付の増加」というマクロで見た給付と負担に応じて、年金額を調整する仕組みです。
2004年の年金改正により導入され、今年4月に初めて実施されました。

<公的年金額の例*1(月額)>

2014年度2015年度増減額
国民年金*264,40065,008608
厚生年金*3219,066221,5072,441
*1:2015年度の新規裁定者(67歳以下)
*2:老齢基礎年金(満額)
*3:夫婦2人分の標準的な年金額

ワン・ポイント・アドバイス:マクロ経済スライドは年金額を抑制!老後資金の準備を!!
まず公的年金額は、賃金(名目手取り賃金変動率)や物価(物価変動率)によって変化します。2015年度の年金額を計算するための指標は、
名目手取り賃金変動率・・・・・・・・・・・・・・2.3%
スライド調整率(マクロ経済スライド)・・・▲0.9%
特例水準解消のため*4・・・・・・・・・・・・・▲0.5%
です。よって改定率は
          2.3% - 0.9% - 0.5% = 0.9%
になります。つまり、実際の受取り年金額は昨年度より約1%増加になりますが*5、賃金や物価の上昇を加味すると実質的には減っていることになります。
マクロ経済スライドは、年金額を抑えるための制度です。今後も物価の上昇程には年金額が増えにくい状況が考えられます。個人年金などを活用し、公的年金を補完するための老後生活資金の準備をお勧めします。

 *4:特例水準については、家計のアドバイザー通信(2014年4月号)をご参照下さい。
*5:端数処理などの理由により、実際の額と異なります。

本記載は、社会保障制度の概要を説明したものです。
詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談下さい。


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